学会名称の変更について


 平素より学会の運営にご協力を頂きまして誠に有り難うございます.

 このたび,私たちの学会はこれまでの日本原生動物学会から日本原生生物学会(英語名称,Japan Society of Protistology)へと名称を変更致しました.

 本学会の名称であった「原生動物」という概念について,現在の生物学における共通理解に沿って変更すべきか,伝統ある原生動物という名称を大切にすべきかという長い議論の末の決断です.

 この議論は,2009 年の評議員会から始まり,その後「日本原生動物学会の名称変更の必要性を検討するワーキンググループ」が設置され,2012 年秋からは現評議員会で継続して議論されてきました.さらに,2013 年には全学会員へのアンケート調査も行われました.これらの議論とアンケート結果をもとに,2013 年度日本原生動物学会第 46 回大会の総会においてさらに議論を行い,最終的に,学会名称を変更すること,新しい学会名称は「日本原生生物学会」とすることが賛成多数で決定されました.

 この名称変更に伴いまして,日本原生動物学会会則は,日本原生生物学会会則として,その一部が変更されました(詳しくは,学会ホームページをご覧下さい).なお,1 年間は移行期間として事務手続き上やむを得ず,日本原生生物学会と旧名称の日本原生動物学会の双方の名称を使用することがありますのでご了承下さい.

 学会大会の名称につきましては,2014 年度大会より日本原生生物学会大会と名称が変更されますが,以前からの回数をそのまま引き継ぎ,第 47 回大会として開催が継続されていくことになっております.

 また,学会の発足以来刊行を続けてきた学会誌『原生動物学雑誌』の名称につきましては,「雑誌の新名称を検討するワーキンググループ」が設置され,すでに多数の名称案が出されて議論が行われています.

 この名称変更によって,関連する分野を取り込んで,学会に新しい血が流れることが期待されますが,これまでとまったく異なる方向へ舵を切るという意味ではありません.むしろ学会の原点に立ち返るという意味もあると思っています.実は,1967 年 12 月 2 日に定められた最初の日本原生動物学会の会則には,「本会は原生動植物に関する研究をすすめ,その知識の普及,向上を図ることを目的とする」とあるのです(原生動物学雑誌(1968)第 1 巻).つまり,当初は「原生動植物」という言葉が用いられていたものが,1989 年に「原生動物」と改められ,昨年度までこの言葉が使われてきた訳です.そして,今回,再び「原生生物」と改めることとなりました.従って本学会は,より広い生物を対象とするという意味で,設立発足当時の初心に戻ったと言えるのかもしれません.

 少数のモデル生物だけを使った研究が主流の現代生物学に対して,私たちの多様な原生生物学の研究が果たす役割はますます大きくなっていることは間違いありません.会員の皆様の研究が大きく発展し,生物学分野における本学会の存在がより大きなものになることを切に願っています.
前会長 今井 壯一
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